【補助金情報】産地生産基盤パワーアップ事業のうち収益性向上対策・⽣産基盤強化対策
地域農業再生協議会等の関係者が、連携して設定された目標をもとに、「産地パワーアップ計画」を作成し、知事の認定を受けます。
ここでいう収益性向上対策とは、生産コストの低減、販売額の増加であり、生産基盤強化対策とは、新規就農者等への継承のためのハウス・園地等の再整備・改修や牛ふん堆肥等を活用した土づくり等を指しています。
その産地パワーアップ計画に参画する農業者や農業者団体が「取組主体事業計画」を作成し、地域農業再生協議会長等による承認後、設備投資関係の補助が受けられる仕組みです。
熊本地震後のグループ補助金に似ていますね。
産地パワーアップ計画(収益性向上タイプ)
産地として、原則3年の計画を作り、5年後の目標を決める
取組主体事業計画
産地パワーアップ計画に参加する農業者が、最長2年の計画を作り、翌年度の目標を決める
収益性向上対策
【要件】(産地としての)面積要件(品目により異なる。施設野菜は5ha以上など)
【成果目標】生産コスト又は集出荷・加工コストの10%以上の削減など。
成果目標は8種類あるので、それぞれの産地にあったものを選ぶということになりましょう。
まあしかし、売上の10%増加というのが多いような印象です。
【補助対象者】 産地パワーアップ計画に参画する農業者や農業者団体
農業者団体というのは、農業協同組合、農事組合法人、農地所有適格法人、その他農業者が組織する団体を指します。
【補助対象】2種類あります。
<整備事業>
乾燥調製施設、穀類乾燥調製貯蔵施設、集出荷貯蔵施設、農産物処理加工施設、生産技術高度化施設(低コスト耐候性ハウス等)等の施設整備
<基金事業(生産支援事業・効果増進事業)>
① コスト削減に向けた高性能な農業機械のリース導入・取得、②雨よけハウス等、高付加価値化に必要な生産資材の導入、③ 果樹の競争力のある品種について、同一品種での改植 等
【補助率】 <整備事業> 1/2
<基金事業(生産支援事業・効果増進事業)> ①② 1/2 ③定額
【優先採択措置】品目によって加算ポイントがあります。
生産基盤強化対策
ほとんど収益性向上対策と同じですが、支援対象の着眼点が若干異なります。
【補助対象】2種類あります。
<整備事業>新規就農者や担い手への継承に必要な低コスト耐候性ハウス等の再整備
<基金事業>① 新規就農者や担い手への農業用ハウス譲渡のためのパイプハウスの再整備・改修
② 譲渡された果樹園・茶園で営農を開始するための果樹園・茶園の再整備・改修
③ 後継者不在の農地等での生産機能の継承を目的とした作業受託組織等での農業機械の再整備・改良
④ 再整備・改修した施設・果樹園等の継承ニーズの把握及びマッチング、受け皿組織における継承までの間の維持に必要な備品、生産資材の購入
⑤ 生産技術を継承・普及するための栽培管理・労務管理等の技術実証、農業機械の安全取扱技術向上のための研修
⑥ 牛ふん堆肥及びペレット堆肥等の実証的活用に向けた実証ほの設置 等
⑥以外は農業版の事業承継補助金という感じがします。
詳しくは農水省HPにパンフレットが出ていますので、読んでみてください。
熊本県ではどういう事例が採択されているかと言うと、以下のとおりです。概要が分かる分だけ抜き出してみました。
計画作成主体 | 取組の概要 | 対象品目 | 主な取組主体 | 成果目標 | 助成金の活用 |
菊池市農業再生協議会 | 次代を担う産地強化への体制整備 | アスパラガス (産地面積:8.3㏊) | 菊池地域農業協同組合 | 販売額の10%以上の増加 (10a当たり) | 整備事業(選別、調整及び包装施設) |
菊池市農業再生協議会 | 次代を担う産地強化への体制整備 | いちご (産地面積:7.04㏊) | 農業者10名 | 販売額の10%以上の増加 (単位面積当たり) | 整備事業(低コスト耐候性ハウス等) |
菊池市農業再生協議会 | 次代を担う産地強化への体制整備 | ごぼう (産地面積:159.87㏊) | 農業者22名 | 販売額の10%以上の増加 (単位面積当たり) | 生産支援事業(ゴボウハーベスター、トラクター等) |
合志市農業再生協議会 | 施設野菜産地の形成の推進 | すいか (産地面積:88.5㏊) | 合志市すいか生産組合 農業者9名 | 契約栽培の割合の10%以上の増加 かつ50%以上 | 整備事業(低コスト耐候性ハウス) 生産支援事業(土壌消毒機、ハウス資材等) |
上天草市地域農業再生協議会 | 特別栽培農産物(レタス)産地形成の推進 | 冬レタス (産地面積:35㏊) | 農業者5名 | 販売額の10%以上の増加 (単位面積当たり) | 生産支援事業(農業機械のリース) |
上天草市地域農業再生協議会 | エコファーマー(きゅうり)産地形成の推進 | 施設きゅうり (産地面積:4.56㏊) | 農業者5名 | 販売額の10%以上の増加 (単位面積当たり) | 生産支援事業(資材導入及び農業機械のリース) |
長洲町農業再生協議会 | 大豆生産の効率化及び販売額の増加 | 大豆 (産地面積:53.5㏊) | 長洲町大豆生産管理組合 | 販売額の10%以上の増加 | 生産支援事業(コンバイン等の農業 状況 機械のリース導入) |
長洲町農業再生協議会 | 小麦生産の効率化及び販売額の増加 | 小麦 (産地全体面積:296㏊) | 長洲町米麦推進部会 | 販売額の10%以上の増加 | 生産支援事業(トラクター等の大型農業機械のリース導入 |
補助金を申請される際は、採択事例を参考にして検討されるとよいでしょう。