食料問題/農産物の市場の特質

経済理論というのは所得と価格で規定されていたが、最近それが通用しなくなってきた。

ガルブレイスは、「消費者の欲望はさまざまなメディアが伝達する情報によって作り出されている」『ゆたかな社会』と指摘。

 

1995年のレスター・ブラウン『飢餓の世紀』。2030年に世界穀物の2割が不足すると予測した。

世界の食料需要を左右する要因は、人口と所得水準の2つ。

穀物需要量=f(価格、人口、所得)

穀物供給量=g(価格、資源、技術)

価格が重要なファクターであり、価格によって需要と供給は均衡状態となり穀物の不足は生じないはずだが、なぜ不足すると予想されているのか?

世界の食料需給をめぐる楽観論と悲観論で、需要の見通しには大きな違いはない。

違いは、供給(つまり、資源と技術)が対応できると思うか、対応できないと思うか。

 

価格が調整弁となって、需要と供給をバランスさせると考えるのは、購買力の裏付けをもった需要しか見ていない。購買力の裏付けがない需要は、需要曲線の上に乗っていない。経済学はそういう困窮した人々を無視している。

ですので、食料問題の解決は、貧しい人々の所得の改善にあるといえる。

ところが、日本では所得が上がり豊かな食生活となったら自給率が下がった。

所得の向上によって、貧しい国の福祉の改善が図られるとき、食料需要の増大という深刻な問題に直面する。

このジレンマを解決するのは、1生産性を高めるか、2人口を抑制するしかない。

 

農産物の需要の特質としては、需要の価格弾力性が小さい。日本はほぼゼロだったのが、揺らいでいる。

農産物の供給の特質としては、1生産量のコントロールが難しい、2生産の季節性、期間構造、3零細多数の生産者(自分で価格をコントロールできない)。

 

ということから、価格の乱高下がしばしば起こる。

 

豊作貧乏。豊作で価格が暴落すること。

生産量を減らしたらどうなるか。めんどうな式は省くと、需要の価格弾力性が1より低いなら、生産量を減らしたほうが儲かるということになる。

ここに生産調整の理論があります。

 

蜘蛛の巣理論(Cobweb Theorem)

1生産に期間構造がある場合、

2生産者は1期前の価格を想定して生産量を決定する。

3当期の価格は供給量と需要曲線の交点で決定する。

そうすると、理論的には、ある点の価格と生産量に収束するという理論。

本当にそうなっているか?


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