自民、全中に刷新迫る(H26.6.10日経)

今日の日経です。

先日、規制改革会議が全中の廃止などを提言したのを受けて、自民党が対応を検討した結果です。

ある程度、農協側に配慮した案となっていて、玉虫色の感じもしますし、骨抜きの懸念があります。

 

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自民党は、JAグループの代表機能を持つ全国農業協同組合中央会(JA全中)を大幅に見直す政府の農協改革案を容認する見通しとなった。9日の農林関係の会合で党の考え方を提示。JA全中を「自律的な新たな制度に移行する」とし、組織の刷新を求めた。農家の減少や票田が失われる現状への危機感が、自民党の背中を押した。

 会合では、党農林族が農林水産省などとまとめた農協などの改革案を議論した。出席議員から「地域農協の声も聞くべきだ」などと慎重な議論を求める声も出たため、結論を10日に持ちこした。

 党改革案は、農産物の集荷や販売を一手に担ってきた全国農業協同組合連合会(JA全農)について、地域農協が出資する株式会社に転換できることも明記した。5年間を「農協改革集中推進期間」と位置づけ、自己改革を促す。農協改革を優先するとして企業の農地所有の解禁は見送った。

 自民党は10日にも公明党と協議する。政府は規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が13日に与党の意向を踏まえて答申をまとめ、月内に打ちだす新成長戦略に農協改革を盛り込む。

 農協改革の柱であるJA全中の見直しをめぐり党改革案は、農協法に基づき約700の農協を指導・監査する「中央会制度」の廃止を書き込まず組織存続の余地を残しつつも、JAグループに「自己変革」を迫った。

 

農家減に危機感

 

 背後には日本の農業を取り巻く厳しい現実がある。2010年度の農協正組合員は25年前に比べて82万人少ない472万人まで減った。農業人口の減少や高齢化に歯止めをかけられず、地域経済がじり貧になりかねない。農業の活性化を通じて新たな担い手を育てるには改革は避けて通れないとの思いがある。

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の妥結までに農業の競争力を高める手立てを講じる狙いもあった。大物農林族が姿を消し、農業政策も首相官邸との「伴走型」に変質している。来春の統一地方選まで大型選挙がない見通しの政治情勢も党の改革を後押しする。

 「地域の農協が主役となり、農業の成長産業化に全力投球できるよう抜本的に見直しを図る」。安倍晋三首相は9日の参院決算委員会で、農協改革に強い意欲をみせた。

 

形態なお綱引き

 

 自民党の改革案はJAグループへの配慮も潜り込ませた。党で農協改革をとりまとめる森山裕総務会長代理は最近、野田聖子総務会長から「(性急な改革では)郵政改革と同じじゃないの」と電話を受けた。地域によっては、急進的な組織改編だと「農業票が離れる」(自民党幹部)との警戒感も強く残る。

 「首相官邸前で座り込みしますよ」。8日夜、都内ホテルで党農林族はJA全中の万歳章会長の不満を耳にした。来年の通常国会に提出する関連法案でJA全中をどのような形態にするのか、官邸と党の綱引きは続く。


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