土作りを化学的に考える

土作りについて講義を受けてきましたので、シェアしたいと思います。

硝酸態窒素のことでした。WHOが定める致死量は4000mgなのですが、日本では16000mgを超えるチンゲンサイがあったりするそうです。この場合、250g食べれば死ぬということになります。湯がけば半分にはなるそうですが。

また、硝酸態窒素は糖尿病の原因になるという説もある。

有名なのは1956年のブルーベビー事件。硝酸態窒素がヘモグロビンの鉄分を酸化させて、酸素を運べなくさせるため、窒息死したという事件です。

これは、小さいころから離乳させるというアメリカの子育て事情も関係しており、日本ではあまり起こらないそうですが、牛が死ぬという事例はあるそうです。

人工透析患者数は、農業の盛んな県かどうかと相関があるようです。人工透析患者数が一番多いのは、熊本県。宮崎、鹿児島なども多いとのことです。これは、農業が排出する硝酸態窒素の影響ではないかとも言われています。

日本の水道水の基準は10mg/lですが、カナダでは0.001mg/l。日本人は世界平均の3倍、硝酸態窒素を摂取していることになるそうです。

 

さて、農作物を見てみると。

硝酸イオンの量と糖度には逆相関があるようです。つまり、硝酸イオンの量が少ないと、糖度が高くて甘く、栄養価が高い。

有機だからといって栄養価が高いとはいえないという研究結果があります。

有機物も最後は硝酸イオンになるからというのが一つの理由です。

 

化学的に考えてみると。

葉緑素は、苦土(酸化マグネシウム)の周りに窒素Nがあります。そこに鉄、マンガン、銅、塩素などのミネラルが作用して光合成を行っています。

ショ糖の化学式は、C12 H22 O12 ブドウ糖が2個つながったもの。

ブドウ糖は、C6 H12 O6。

クエン酸は、C6 H8 O7。

ビタミンCは、C6 H8 O6。クエン酸より酸素が少ないため、抗酸化能力があるというわけです。

酢酸は、C2 H4 O2。

セルロースは、C6 H12 O6が2,000〜4,000分子つながったものです。

まさにこれが、炭(C)水(H)化物です。

 

で、繊維というのは炭水化物です。細胞はタンパク質です。

有機で農業するときに大事なのは、繊維を強くすること。繊維が薄いと、害虫がつきやすくなります。

日光が足りないときは、光合成ができないのですから、繊維も厚くならず、害虫がつきやすくなります。と同時に、ブドウ糖の代わりにクエン酸ができるわけなので、酸っぱくなる。糖度が下がるという関係にあるわけです。

 

タンパク質は、アミノ酸ですが、構成しているのは、C H O N。

硝酸の化学式はNO3。Nが入ることに注意です。

タンパク質は、分解されるとペプチドになり、さらに分解されるとアミノ酸になり、それがアンモニアになり、最後は硝酸態になる。

有機農法だろうが慣行農法だろうが、最後は硝酸態になるということです。

 

ここで、光合成をもう一度考えてみると。

無機の肥料を与えた場合、CHO + NO3やNH4 という形になります。

このとき、Nは、光合成でできたCを使って、細胞を作り出しますので、Cがたくさん使われてしまいます。

一方、有機肥料を与えた場合は、CHO + CHON という形になりますので、光合成でできたCを使わずとも、細胞を作ることができる。つまり、細胞壁が厚くなるし、糖度も高くなる。

有機肥料のほうがいいと言われるゆえんはここにあるのですね。

化学的に考えるとよく分かります。

 

ついでに、アミノ酸には、COOHというカルボキシル基と、NH2というアミノ基があります。アミノ酸は発酵物です。このカルボキシル基のOHと、アミノ基のHがくっついて、H2Oの水となり、ほかのとくっついてタンパク質になるわけです。脱水縮合と言われます。

ところが、腐敗物(CH3NH2とかC9H7NH2など)を吸わせちゃうと、タンパク質ができず、腐敗物が植物のなかをめぐる状態になります。すると、収穫してすぐ腐るということになります。

ですからアミノ酸の形で吸わせないとだめ、ということでした。