出口戦略から考える農業経営

先日、日本政策金融公庫熊本支店農林水産事業が主催する「平成27年食と農林漁業者の交流会INくまもと」に参加してきました。

講演は、オイシックス株式会社から、「出口戦略から考える農業経営」と題して、オイシックスの商品戦略についてお話がありました。

オイシックスというのは、日本最大級の食品宅配スーパーですね。「自分の子どもに食べさせられる商品」をキャッチフレーズに、独自の安全基準をクリアした商品を扱っています。利用者は75万人超、取引農家は1000軒とのことです。

興味深かったところを、以下列記してみます。

 

・野球でいうと、生産者はピッチャー。ピッチャーがよければいい試合になるように、生産者がよければ、いい商品ができる。我々はよいピッチャーを探す。

 

・現今は、生産者と消費者が離れているので、情報開示、透明性が大事。消費者は、知らないから不安になる。大丈夫です、と言うだけでは効果はなく、徹底した情報開示が重要。

 

・顧客経験ごとにトップページを変えている。未購入者向けのページは、汎用性のある商品を打ち出す。購入経験者向けのページは、他の商品の案内がある。定期購入者向けのページでは、希少な商品を案内する。いいものは、必ず定期購入者向けに案内する。

 

・名店の寿司職人は、まずお客さんに「嫌いなものはないですか」と聞く(ノックアウトファクターという)。商品の上手い説明を聞いても、消費者は分からないので、商品がお客さんの何に貢献するのかを考える。

 

・保険のコールセンターでは、交通事故があった際、まずは「大丈夫ですか、ケガはありませんか」と気遣いに1分をかける。冷静にさせる。保険の商品は同じなので、オペレーターの対応で決まってしまう。

 

・ジャパネットたかたは、商品スペックの説明はしない。商品がない生活がいかに惨めかを訴えているだけ。つまり使い方の提案をしている。

 

・消費者と生産者の「おいしい」は異なる。消費者の「おいしい」は、だいたい旅先で親しい人と食べた食事。味はほとんど覚えていない。生産者は、自分の作っているものがおいしいと思っている。

 

・日、米、アジアの製造業の強みと製品特性について。アメリカ、アジアは、汎用ソフトやDVDプレイヤー、デスクトップパソコンなど、誰でも作れるものに強い。日本は、自動車やゲーム機器など、開発と生産が一体となって作り上げる(誰でもは作れない)ものに強い。

・これを食品産業にあてはめると、日本は、日本酒や伝統郷土食などに特化すべきではなかろうか。

 

・日本人は1番を決めたがる。そうすると、負け組が増える。ヨーロッパでは1番を決めない。各々の個性を評価し、負け組を作らない。

 

・日本酒はキラーコンテンツ。安定需要。その地域で作っている米を使っている日本酒はほとんどない。ここは焼酎との違いであり、日本酒の弱いところ。

 

・食材セット、惣菜が売れている。料理の時間を節約する。これはファミリーに「家族の時間」を売っている。震災、リーマンショック以降、家族での食卓を大事にする人が増えた。

 

・産地と小売のバリューチェーン化の課題はロスが多いこと。売れ残りが多い。産地で惣菜化すれば、売れ残りを肥料にできるので、ロスが減る。

 

・中国の農業生産の6割は山東省。農業に適している。そこでも、PM2.5で日照が少なく、トマトは作れない。中国は、失業率が低いことから、多少危険な食品があっても、別に問題ないと構えている。高所得者層はきちんとしたものを食べている。完全にダブルスタンダードな国。

 

・海外で売れるのは果物。りんご、いちご、もも、みかん、でこぽん、柿、メロン、すいか。酸が少ないのが売れる。逆に、米やトマトはいまひとつ。米は、炊きたての匂いが嫌いだという人が多いこと、冷めてもおいしいという売り方が通用しないこと(そもそも冷めたものは食べない)、以前は古米が多かったのでイメージが悪いことなどが原因。トマトは、生で食べる習慣がないのが原因とみられる。

 

とりとめのない感じですが、勉強になりました。