売掛金のリスク
農家さんは、これまで一般には農協に加入していました。
生産して出荷さえすれば、あとは農協が売ってくれました。よって、売掛金の回収など考える必要はなかったのです。
しかし、最近は農協に出荷しない農家さんも増えてきました。
市場出荷、直販などです。契約販売という形態もあります。
これら新しい販売形態になり、メリットがいくつもあります。
まず、価格を自分で決められること。
他の業界では、自分の作ったモノの価格を自分で決めるのは当たり前のことですが、その当たり前のことが、農協出荷ではできなかった。農協が決めていたわけです。
それを、労働対価に見合った金額で販売することができる。付加価値をつけて高く販売し、利潤を稼ぐこともできる。これはメリットです。
次に、品質を高められること。
農協出荷では、たくさんの農家さんの生産物が一緒くたにまとめられてしまいます。
せっかく、自分が高品質のものを生産しても、手を抜いている他の農家さんの生産物と一緒になってしまい、品質が悪い意味でならされてしまう。
これでは、頑張って作った甲斐がありません。
自分で作ったものを自分で売れば、「私が作った」と胸を張って言えます。
こういう理由から、特に大規模農家ほど、農協と取引を経ち、いわゆる「系統外出荷」を始めるようになっていきました。
そこで問題となったのが、売掛金です。
販売した、そのお金をニコニコ現金払いで買ってくれれば、リスクゼロです。
しかし、後で払ってもらう契約にしていた場合、それは「売掛金」として計上されます。
ここで、売掛金をきちんと回収できるか、つまり売上をきちんと現金化できるか、が資金繰りの大きなポイントになります。
ここが、農協まかせの時代にはなかった、新しい農家の悩みの一つとなりました。
そして、このトラブルにより、経営が傾く農家も現実にいるのです。