卸・中食、産地に接近 H26.8.14日経

今日の日経からです。

農家が作りたい米と、中食産業などが買いたい米とのミスマッチが続いています。

これまでは消費者自らが米を炊いて、ご飯を食べていましたが、ライフスタイルの変化に伴い、中食や外食に頼ることが増えたのが一因と思います。

そのミスマッチを埋めようという努力がなされています。

「複数年産米コメ市場」、注目していきたいと思います。

 

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コメの流通で変化の胎動が始まった。生産調整(減反)見直しや農協改革の議論を受け、卸会社や中・外食企業は消費者が求めるコメの生産を促そうと産地に接近する。全国農業協同組合連合会(全農)は外食業界への販売強化に動く。従来のすみ分けが崩れる中、誰もが納得できる価格の重要性も高まる。

 

自ら農場運営

 

 「外食や中食向けに価格や品質が見合うコメがない」。コメ卸最大手、神明ホールディング(神戸市)の藤尾益雄社長は指摘する。同社は自ら岡山県で農場を運営、農家との契約栽培も広げる。

 栽培するのは粒が大きく牛丼やカレーに向く「みつひかり」などの多収穫米。面積あたりの収穫量が多く、単価が安くても農家は収入を確保できる。現在の4千トンを3年後に1万5千~2万トンに拡大する計画だ。「価格が下がっても生産者の利益が上がる仕組みを作るのが重要だ」と藤尾社長は強調する。

 コメの流通は全農が単位農協から集めた玄米を卸会社が調達、精米して小売店に販売するというのが一般的な経路だ。10年前は3割程度だった流通に占める業務用の比率は現在、5割近くまで上昇。コシヒカリなど家庭向けで人気の銘柄を生産したい産地側と、価格と品質のバランスがとれたコメを求める中・外食業者のズレも目立つようになった。

 農林水産省によると、全農などがコメ卸に販売する2013年産米の6月の相対取引価格は前年同期の12年産米に比べ12%安の60キロ1万4328円(全銘柄平均)。業務用の需要が回復しないのが響いている。

 

新市場を創設

 

 中食業者などでつくる国産米使用推進団体協議会は「複数年産米コメ市場」を創設し、14年産米から中・外食業者と大規模農家の取引の仲介を始める。減反見直しで産地は何を生産するか独自に判断する必要が出てくる。福田耕作会長は「新市場を通じて中・外食業者は欲しい銘柄が手に入るようになり、農家は安心して生産できる」と意義を語る。

 農協改革で自立を求められている単位農協との結びつきを強める動きもある。コメ卸大手、ヤマタネは外食企業など販売先を確保したうえで関東や東北の単位農協に、多収穫米の生産を提案する。14年産は前年比4割増の3500トンに増える。多収穫米「あきだわら」を生産する関東の単位農協の担当者は「単価は安くても収益は変わらない。顔が見える需要家から、『安くておいしい』といってもらえるならやりがいがある」と話す。

 一方、全農は業務用の販売力強化に動く。精米販売子会社を合併し10月に誕生する全農パールライス(東京・千代田)の取扱量はコメ卸3位。全農幹部は「(全農本体の)株式会社化への研究を進め、いかなる変化にも対応できるようにする」と話す。コメ卸は「産地との結びつきが強固な全農と同じ土俵で戦うことになれば脅威だ」と警戒する。

 生産者と全農、卸と小売店や中・外食業者という分業の中で安定した供給体制が築かれていたコメ。それぞれが販売力や調達力を問われる場面に入ろうとしている。

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