債権回収物語vol.3

債権回収

vol.2より続く。

 

償却について、もう少し書いてみよう。

償却のためには、「これ以上回収は難しい」ことを疎明する必要がある。

疎明とは、証明とは違う。「そうだろうな」と決裁者に思わせるだけの資料を集めてこい、ということで、証明よりワンランク劣る。

私が初めて償却を担当したときは、資料集めは終わっている状況で、償却の作業だけ残っている状況だった。つまり手元にある材料のみで疎明しなければならない。

まず大事なのは、面談記録である。債務者の状況を聞き取った記録だ。

面談記録を書くのにもコツがあり、役に立たない記録もあれば、これ1枚で相当のものが疎明できるという記録もある。記録の付け方、つまりヒヤリングの仕方の審美眼は身に付いた気がする。

それから、過去の条件変更(償還年数をのばすとか、担保を処分するとか)時の稟議書。これも役に立つ稟議書と役に立たない稟議書とがある。概して、管理を担当したことがない人の書いた稟議書は償却や回収の役には立たないことが多い(気がする)。

保証人との交渉が終わっていない案件もあれば、担保処分が終わっていない案件もあった。でも償却しろということで、「回収できない」説明文をこしらえるのに最初は苦労した。

もちろん、債務者側が、償却してくださいと言ってくることはない。無意味だからである。完全に債権者側の都合である。

あ、お金を借りている人が「債務者」で、貸している方が「債権者」ですね。念のため。

そういえば、1回だけ、債務者側の弁護士から「このお客さんのは償却したんでしょう?だったら元本を半分免除してくださいよ」という電話がかかってきたことがあった。

なぜその弁護士が償却したことを知っていたのかは分からないが、償却したかどうかなんて相手には絶対に言ってはならない。よって「元本を半分なんてふざけるな!出直してこい!」と言って電話を切ったのでありました。

さて、そんなこんなで数百件の償却を終えたころ、4月1日の内部異動の内示があり、晴れて?管理担当専任となったのでありました(それまでは営業課との兼務でした)。

続く。