子牛導入費と肥育期間の考え方
H29.8.22日本農業新聞に、宮崎県えびの市で和牛肥育を営まれている神田譲市さんの記事が出ています。肥育期間の考え方が興味深いものでした。
【内容のポイント】
ーーーーーーーーーーーーーーー
・子牛1頭値の利益を計算して肥育期間を延ばしたり、短くしたりする
・通常20~22ヶ月の肥育期間であるが、子牛相場が安い2年前までは、17~18ヶ月に短縮。子牛相場の高い現在は、19~20ヶ月に延長。
・子牛の導入価格をカバーするには、肥育期間を延ばして肉質や枝肉重量を増やし、高単価で売る必要があるため。
・計算例
肥育コスト=720円/頭/日×2ヶ月延長(60日)=43,200円/頭の増加
収入=増体重0.9kg/日×2ヶ月延長×歩留まり55%×2,400円/kg=71,280円/頭の増加
差引 28,080円/頭の利益増加
・ただし、期間を延ばしても、枝肉重量や肉質が必ず向上するわけではない。
・今後、子牛相場が下がれば、肥育期間を短くしたほうが利益が出る。
・1頭あたりの面積を拡大(28㎡/4頭→28㎡/3頭)したことで、枝肉重量の増加につながった。堆肥の搬出頻度も減った。
・これにより、観察の時間が増え、事故率がほぼ0になった。
・子牛の導入は地元のJAに一任。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【経営へのヒント】
上記の計算だと、肥育日数を延ばせば延ばすほど利益が出るような感じもしますが、肥育日数と肉質は完全な比例関係にあるわけではないので、いずれコストが上回ります。
牛の利益は、売上単価×枝肉重量ー導入費ー1日あたりの肥育コスト×肥育日数で得られます。
式だけを見ると、導入費が高い場合、肥育日数を短くしてコストを下げるという手も考えられますが、あえて長くして売上単価を高めるという方法で、相応の目利き力が必要になる気がします。
関連記事
-
-
消費税が上がれば得する業態
消費税が上がって、のど元を締め上げられるように経営が苦しくなる中小企業が増えています。 ところ
-
-
JA柏崎の担い手経営コンサルティング内容
H29.8.21の日本農業新聞に、新潟県のJA柏崎の担い手への経営コンサルティング事業が紹介されてい
-
-
農協経由の農産物出荷50%割れ H26.8.19日経
今日の日経からです。 農協の存在意義が問われています。 ーー
-
-
土作りを化学的に考える
土作りについて講義を受けてきましたので、シェアしたいと思います。 硝酸態窒素のことでした。WH
-
-
【新規就農2】青年就農給付金(経営開始型)
平成24年度から創設されたものです。 以下の要件があります。 ア 独立・自営就農時の年齢
-
-
小麦について H26.8.19日農
今日の日本農業新聞の記事からです。 小麦についてまとめられていました。 ーーーーーーーー
-
-
NPO法人の設立について
NPO法人についてまとめてみました。 正式には特定非営利活動法人。 1 要件 ・ 社
-
-
【NEWS LETTER】今月の農業経営〜地理的表示保護制度〜
〜メルマガからの転載です〜 熊本も暑くなってまいりました。 本日6/1は、私が行政書士登
- PREV
- 「GAPする」と「GAP取る」
- NEXT
- 新しいことに対する抵抗への対処方法